株式会社平山では、2019年6月から、人工知能(AI)を活用した危険予測システムHAio(ハイオ)のサービスを提供しています。さらに2020年9月からは新型コロナウイルス感染防止に対応し、新たに検温と自覚症状確認機能を追加リリースしました。それからおよそ1年が経過することもあり、実際に利用している方への聞き取り調査を行いました。

派遣社員への聞き取り調査

まずは、派遣社員のAさんにいろいろとうかがってみました。

―HAioはいつ頃から利用されていますか?

Aさん:私が勤務をしているところでの利用が始まったのは、1年前くらいでしょうか。2020年の全国での緊急事態宣言が解除されてからしばらく経って、抗体検査が始まるとか、ワクチンができるかなどの話題が出ていた頃だと思います。緊急事態宣言の間は稼働が止まっていた工場も少しずつ稼働が戻ってきて、一度に勤務する人たちの人数も増えたので、感染対策にさらに力を入れなくては……というときだったと思います。

―HAioを最初に利用したとき、どのように感じましたか?

Aさん:最初に感じたのは「製造業でAI?」ということです。AIと聞くと、最新の技術というか。ITの世界ではいろいろなところで利用されていると聞きますが、AIが関係しているシステムをまさか自分が利用することになるとは考えてもいませんでしたので、驚いたのが半分、最新技術に触れられるという期待感半分というところです。
実際に使用してみると、自分のスマホに専用アプリをダウンロードして操作するだけで良いので、ゲーム感覚で本当に楽しいです。最初は慣れなかったので操作時間は少しかかりましたが、慣れてくれば1分ちょっとで操作が終わるくらい、簡単です。

―現在まで勤務日は毎日操作されていると思いますが、実際に1年近く利用されてどう感じますか?

Aさん:実際に操作した結果がどうだったか?というのは自分には届かないので分かりませんが、HAioを操作することで「不安全な状態にある自分」に気付いてもらえるなら、それはすごいことだと思います。たとえば、今日は何となく寝不足かなと思っても、やはり勤務日であれば工場には出勤しますし、その日の作業もある程度は決まっていますから「ちゃんと仕事しなくちゃ」と考えます。でも、動くことができないほどでなければ「不安全な状態」にはなかなか自分では気づきませんから、管理者に気付いていただいて、声をかけていただけるのはありがたいです。
私も実際、この1年で2回、「不安全な状態」にあると管理者の方から指摘され、半日ほどお休みをいただいて頭をスッキリさせてから仕事に戻ったことがあります。問題が起こる前で、本当に良かったと思っています。

管理者への聞き取り調査

Aさんへの聞き取り調査の結果を念頭におきつつ、次は管理者の方(Bさん)にもいろいろとうかがってみました。

―Bさんはいつ頃からHAioを使用されていますか?

Bさん:私のところでは今年度から本格的な利用がスタートしましたので、5か月ほど前からでしょうか。年度が変わって新しい社員や派遣社員が増え、工場内の新人教育と並行しながら、工場内全体での感染対策を強化するところで新しいことも始めやすいタイミングでしたので使用を決めました。

―HAioの利用がスタートしたとき、どのように感じましたか?

Bさん:当工場では、昨年度末の3月には、運用が始まることが決まっていました。デモデータを使いながら、実際にHAioから上がってくるアラートにどのように対処すれば良いか、1か月くらいは検討の期間に充てたと思います。そのときは、製造業に従事する自分にとって「労働者の不安全行動をAIが事前に予測するというのはすごく新しい」と思いました。

―半年近く利用してみて、どのように感じていますか?

実際にAIが具体的にどのように機能しているのかは分かりませんが、少なくとも、私たちの手元に「不安全な状態の社員がいる」ことを知らせてくれるのは、今までには無かったことです。社員たちからの自己申告や、朝礼での様子の観察などからそうした情報を得ることは難しかったのですが、社員たちの「自分でも気づかない不安全な状態」は、彼らの管理者としてとても知りたい情報ですので役立っています。
私たちは生産性の維持管理も重要な仕事ですが、実際に作業する社員たちの体調管理も大事な仕事です。見た目だけでは分かりにくい「この人は今、ちょっと不安全な状態かもしれない」という状況を予め知っておくことで、社員自身にも安全な作業環境が提供できますし、何よりも社員の安全を守ることができます。何かが起きてからでは遅いのです。
強いていえば、管理者側の画面は、もう少し使いやすくなると良いかなとは思います。今のままでも十分使用できますが、当工場は社員数も多いですから、社員名簿との突合せ作業などに結構な時間がかかります。このあたりがもう少し改善されると、より運用がしやすくなると思います。

まとめ

HAioのポイントは、従業員一人ひとりの日々の心情や調子の良さ、問いかけに対する反応速度などの細かいところまでを的確に判断し、少しでもリスクのある従業員に対する「アラート」を、管理者に対して挙げるところです。アラートを受け取った管理者がどのように対処するのかは現場によって変わります。しかし、サービスの提供を続けていくことで、製造現場から「労災を極力無くす」ことが私たちの目標です。今後も、改良や経験を重ねながら、AIをより高度に成長させていきます。

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