今回は、人材派遣業の一環でもあり、近年その需要が急増している「フィールドエンジニア(設備保全)」についてご紹介していきます。今回も、平山の管理部門の社員Cさんと、実際にフィールドエンジニアとして活躍する派遣社員Dさんに、ヒアリングを行っています。

管理者からみた設備保全

まずは、管理部門のCさんへのヒアリングです。

―株式会社平山でのフィールドエンジニア研修とは、どのようなカリキュラムですか?

Cさん:スタンダードな研修カリキュラムは、全26日間と一般的にみても長期間の研修です。カリキュラムは大きく、3つのパートで構成されています。保全の基礎、機械系の学習、そして電気系の学習です。
まずは「保全の基礎」の課程で、保全に必要な基礎知識を学びます。具体的には、安全衛生に関すること、品質管理の基本、点検業務や整備に関する基礎を学びます。
次は、「機械保全の基礎」です。この課程が一番長くなりますが、機械を点検・修理する道具となる工具や測定工具の使い方、そして機械図面の見方を学ぶことで「機械とは何か」という本当の基礎知識やスキルを習得します。ほかにも、機械についてより詳しい知識を得るために、締結部品、回転・軸受、機械駆動/伝達、潤滑、材料について学びます。言葉だけでは分かりにくいと思いますが、これらはフィールドエンジニアとしての業務を行うためには必要不可欠な知識となります。期間が長いですが、受講者にとっては非常に有意義な時間となるでしょう。工業系の大学などの出身であれば、これらは座学として学ぶこともありますし、実際に工作機械などを使った実習などもあります。しかしそれは「使うため」の知識やスキルであり、保全という視点とは少し違うのではないでしょうか。
次は「電気系の基礎」です。具体的には、電気の基礎、回路図の見方、電気計測器の使い方、センサーやモーターのメカニズム、リレー回路の基礎、そしてシーケンス制御の基礎や応用、空圧制御の基礎を学びます。現在の製造業で使用する工作機械は電気制御されているものがほとんどですから、こうした知識やスキルも設備保全には必須事項なのです。

―実際に研修を受けるのは、どのような社員ですか?

基本的には、在籍している派遣社員から選定するというよりも、「フィールドエンジニアの業務に携わりたい、そのための研修を受けたい」という方を採用しています。事前に面談を行い、コミュニケーション能力や人間性などのチェックを行い、適性テストを受けていただきます。研修自体が「基礎を学ぶ」というカリキュラムであっても、それ以前の基礎学力や製造業の知識はある程度必要ですので、いわば「現在の実力を測る」ためのテストです。
もちろん、平山に在籍中の派遣社員でも、本人が希望し適正があると判断された場合は、研修を受けていただくことは可能です。

―フィールドエンジニアに向いていそうな人物像を教えてください。

やはり、勤勉な方でしょうか。勤務先でそういったニーズがあったとしても「誰かがやってくれるでしょう」という方よりも、自分で学びながらスキルをつけたいという方は、本当によく勉強していると思います。やはりこの研修は期間も長いですし、学ぶべきことが非常に多くなります。また、研修を一度受けたら終わりではなく、製造業の世界も変化していますから、新しいことを学び続けていく姿勢が大事なのではないでしょうか。

―フィールドエンジニアの未来について、お考えをお聞かせください。

製造業で扱う機械は非常に高額なものもありますし、使い方を間違えると大きな事故につながる可能性も秘めています。働き手の安全を守ることだけではなく、SDGsという考え方が広がる中で、機械の状態を維持しながら生産性を上げていくことは、今までもそしてこれからも、大きな課題です。フィールドエンジニアという業務の需要は、今後さらに拡大していくのではないでしょうか。

派遣社員からみた設備保全

フィールドエンジニアになるためには、いくつものハードルを越える必要がありそうです。今度は実際にフィールドエンジニア業務に携わっているDさんにヒアリングしてみました。

―フィールドエンジニア研修を受けようと思ったきっかけは?

前職では、実際に工作機械を使う立場でした。工場の中にはかなり年季の入った機械もありましたし、新しい機械でも気を緩めるときちんと動かなくなります。機械の調子が悪くなっても、自分ではどうすることもできません。メーカー修理を何日も待つこともありました。
でもある時、「フィールドエンジニア」という仕事があることを知り、スゴイ仕事だなと。憧れを抱いたというのがきっかけでした。

―実際に研修を受けてみて、どうでしたか?

正直なところ、研修を受ける前は「長いな」と思いました。そんなに学ぶことが多いのかという気持ちもありましたし、自分が付いていけるのかという不安も少しありました。実際に研修を受けてみると、難しいと思うこともたくさんありましたが、すごく勉強になったのは確かです。新しいことを知る、自分の知らなかった考え方を知ることはとても楽しく、期間の長さも気になりませんでした。
それから、それまでは「使う」という立場で機械と関わってきましたが、「保全」という考え方を持てるようになったのは大きな収穫だったと思います。自分が関わることで動かなかった機械が動くようになり、メンテナンスをすることで止まることなく動くようになるのはとても嬉しいですし、「使う」だけでは得られなかった喜びがあります。

―これからフィールドエンジニアを目指す人へメッセージをお願いします。

フィールドエンジニアという仕事は、少し地味な印象があるかもしれません。でも、非常に高い技術力や専門知識を必要とされる仕事です。学ぶことは多いですし、研修が終わっても日々の学びや努力が必要ですが、その分、一生もののスキルになりますから、挑戦し甲斐があります。
私は現在、とある大きな工場に派遣されています。先輩方からも多くのことを学びながら、この道を究めていきたいと思います。

まとめ

今回、お二人にお話しをうかがいましたが、共通しているのは、フィールドエンジニアの世界はとても奥が深いということでしょうか。「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、好きだからこそ機械と真摯に向き合い、使う人に対して安全かつ安心な稼働を約束する、製造業にとってなくてはならない存在です。
株式会社平山では今後も、お客様のニーズに応えるよう、フィールドエンジニアの育成に力を入れていきます。

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