2021年4月から、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保することを目的として、中小企業にも「同一労働同一賃金」がスタートします。株式会社平山では、すでに2020年4月からの「同一労働同一賃金」に対応しておりました。そこで、もうすぐ企業規模に関係なく、全国の起業が対象となるにあたり、この1年を振り返ってみたいと思います。

「同一労働同一賃金」に対する、平山の取組みと振り返り

株式会社平山では、2020年4月からの「同一労働同一賃金」に対応すべく、社内での準備期間を設けていました。実際にどのような準備を行ってきたのか、社内でアンケート調査を行いました。岩手県から静岡・山梨までの1都3県の全13事業所から、アンケートの回答を得ることができました。

まずは、2020年の4月に向けて行った「準備」についての質問に対して、回答者のほとんどは、派遣先企業が「労使協定方式」と「派遣先均等・均衡方式」の、どちらの待遇決定方式を選択したのかを確認するところから始めているようです。
平山の取引先企業の多くは「労使協定方式」を選択しており、必要な資料や書類の作成、待遇内容の情報提供依頼及び交渉、必要に応じて対派遣スタッフ説明会の実施などを行ってきました。今回、派遣従業員やそれをフォローする平山の社員は、業務フローや確認事項についてまとめられている資料を活用しながら、確実な契約締結まで滞りなく進められるよう、各々が準備を進めていました。
なお、契約書関係については、人事・総務が用意したフォーマットをベースとして、必要に応じて加筆修正を行っています。修正箇所については社内全体で共有し、より実情に即したものを使用することができていたようです。

では、これらの「準備」には、一体どれくらいの人数や人員が必要だったのでしょうか。
アンケートの回答をみると、「同一労働同一賃金」対応の準備に要した期間と人員について、情報収集や知見を広げるところから準備ととらえると1年近く期間をかけたとする回答もありましたが、多くの場合は、2~3名の人員で、1~2カ月の期間を要したようです。中には「2人で1週間」との回答も複数ありました。

現在の平山の体制

平山にとっては、「同一労働同一賃金」への対応は既に1年が経過していますが、だからこそ見えてきたものもあります。

● 派遣従業員への指導と変化

派遣従業員に対しての指導や教育についての質問を投げかけたところ、回答者の多くは何らかの形で実施してきたと回答しています。回答例として、
 全従業員に対しての研修会の実施
 契約書や労使協定、待遇明示書などをもってスタッフ一人ひとりに個別に説明・面談の実施
 社総務による勉強会の実施
などが挙げられていました。

次に、「同一労働同一賃金」がスタートする前と現在とで、実際に派遣労働者待遇などに変化があったかと訪ねたところ、次のような結果となりました。

変化が「あった」とした回答内容としては、協定単価に満たない場合の昇給を始め、交通費や退職金支給といった賃金待遇の変化から、ロッカーの設置や食堂利用規定、一般社員と同等の福利厚生が利用できるようになったとの回答が得られています。賃金もさることながら、賃金以外の待遇変化などもみられているようです。

● 派遣先企業に対して

今度は視点を変えて、クライアント企業に対する変化をみていきます。

「同一労働同一賃金」の中には、事業主に対して「労働者に対する待遇に関する説明義務の強化」が課されています。この1年間で、実際にこれに該当するようなケースがあったかを訊ねたところ、次のような結果となりました。

回答数13のうちの11名、全体の8割以上が「あった」と回答しています。具体的には、「従来以上に説明をしている」とするものが多く、書面交付が義務化されたこともあり、就業条件、昇給・手当・賞与などの賃金待遇はもちろんですが、雇い入れ時、契約更新時の労使協定、就業条件等についても細かな説明が行われている実情が明らかになっています。また、説明会という形で集合教育をおこなっているという回答もみられました。

派遣従業員からの声は

最後に、実際に派遣従業員として働くみなさんからはどのような声が聞かれたのを質問したところ、実は思っていたほどの反応がみられていないという結果となりました。その理由としては、「金額面での変化がないことが一因かもしれない」との回答がありました。なかには「派遣先企業の一般社員と同様の給与水準になると思っていた」とか、「毎年給与が上がる」といったような、誤った認識による声も上がっていたといいます。

その一方で、退職金規定に対する関心の高さを感じた、単純に「昇給してありがたい」という声、さらには派遣従業員自身が「キャリアアップのための指標になった」という、明るい反応も聞かれたとする回答者もありました。さらに、「2020年4月と2021年4月に単価交渉に応じてもらえる会社が増えたように思う」という回答もみられており、こうしたバックオフィス側の努力も、派遣従業員の賃金に影響している部分があるでしょう。

いずれにしても、「同一労働同一賃金」という、従来とは異なった考え方のもとで、派遣従業員の働き方を提示していくことには変わりありません。派遣従業員となるスタッフも派遣先企業も、どちらにも「平山からの派遣で良かった」と感じていただけるよう、これからも、丁寧な説明・対応を続けて参ります。

コーポレートサイト